美しい思い出という “人生の灯り”

ときどき、ふと胸の奥が温かくなる記憶がある。
あれは遠い日の冬、伊豆へ向かう旅の途中で出会った風景や、
静かな海、澄んだ空気、そして過ごした時間だ。

長い年月が経つと、出来事そのものは少しずつ薄れていく。
でも、不思議なことに、
心の深いところに刻まれた “美しい思い出” だけは
まったく色褪せることがない。

思い返すたび、それは
生きる楽しみになり、
つらいときの慰めになり、
そして、次の一歩を踏み出すための
勇気や忍耐の源になってくれる。

若かったあの日、
何気なく過ぎていった一瞬一瞬が、
今になってみれば、
どれほど大切で、どれほど豊かな光だったのか。
それは、今の自分になって初めてわかることなのかもしれない。

あの時間をともに過ごしてくれた人へ、
心の中でそっと「ありがとう」と言いたい。
美しい思い出を残してくれたことは、
人生の中で何よりの贈り物だった。

これからの日々でも、
その光に時折ふれながら、
また静かに歩いていこうと思う。