なるべくずーっと
なんとかやってるように思わせたいじゃん
彼女はそう言った
死を隠すためじゃない
誰かの心に 希望を残すためだった
約束を果たせない代わりに 祈りを残したかった
別れたことにしてもいい
それでも どこかで生きているように
彼の世界を少しでも明るくしたかった
須藤の“最期の願い”は、
死後にも青砥を支えるための生きる延長線のようなもの。
彼女は、自分の命の時間が尽きたあとも、
“青砥の中で生き続ける”方法を探していた。
――それが、「平場の月」が放ついちばん静かな光。
愛の終わりを越えても、なお誰かを照らし続けたいという想い。
彼女は、「自分の死を知らせない」ことで青砥を苦しませるとわかっていても、
それでも、“悲しませない”という愛を貫こうとした。
つまり、「約束を破って別れた女」になっても構わない。
「病気で死んだ人」ではなく、「どこかで、なんとか生きている人」として
青砥の心の中に残りたかった。
――それは、彼に希望を残すための、最後の嘘。
そして、嘘ではなく祈りのような嘘だった。
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