空白(色をひとしずく)

うごかない空に
音のない風がとおる

指先には
なにひとつ残っていないのに
どこかが すこしだけ 冷たい

言葉も かたちもないまま
ひとつ 息をついた

それだけのことが
やけに 遠くまでひびいていく

――若かったころの
理由もなく ふと胸に満ちた あの気持ちだけ
まだ 消えずに 胸の奥で 静かに揺れている

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