『平場の月』より ──あのさ、青砥

あのさ――
そのあとに続く言葉を
彼女は胸の奥でほどいていた
でも 彼は待てなかった
言葉の方を先に出してしまった
その一秒の間に
ふたりの未来はすれ違った
月の光のように 静かに

青砥はその夜、須藤の沈黙の中にあった“最後のサイン”を見逃した。
けれど、彼女が残した沈黙そのものが、
彼女の最も深い愛の証だったんですね。

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