親からもらった、たった一度きりの人生。
その限られた時間をどう生きるか――。
この問いは、誰にとっても避けられないものでありながら、
答えの出ないまま日々に埋もれてしまいがちだ。
最近、三島由紀夫の『葉隠入門』を読み進める中で、
私は「死を覚悟して生きる」という武士道の精神に触れた。
それは決して、悲壮な自己犠牲ではない。
むしろ「死を受け入れる」ことで、
「いまこの瞬間を全力で生きる」ことが可能になるという、逆説的な力強さだ。
しかし、「全力で生きる」とは、具体的にはどういうことなのか。
その中身が分からず、私は立ち止まった。
そこで思い至ったのが、「全力」を「全速力」と読み替えることだった。
全速力で仕事をする。全速力で掃除をする。
要は、スピードをもって集中して取り組むということ。
モタモタ迷わず、手を止めず、気を抜かず。
目の前のことに、一点の曇りもなくぶつかってみる。
さらに、私は自分なりのルールを加えた。
「思い立ったら3秒以内に行動する」――これだ。
考え込む前に、とにかく動いてしまう。
どんな小さなことでも、始める勢いさえあれば、心は後からついてくる。
もちろん、これを始めたばかりの今、
「全力で生きることが本当に幸福につながるのか」、確信はない。
だが、もしこの生き方が真実であるならば、
小さな実践にも、小さな幸福が必ず訪れるはずだと私は信じている。
まずはやってみる。
ご飯を食べるとき、歩くとき、掃除をするとき、
そのすべてを、全速力で、一生懸命にやってみる。
それがやがて、「幸福に生きるとは何か」の答えに変わっていくかもしれない。
たった一度の人生。
大切にするとは、慎重に守ることではなく、
燃えるように生きることなのかもしれない。
その確かさを、私はこれからの毎日の中で、
自分の手で確かめていこうと思う。
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